川柳

[川柳]言葉だけ きれいな言葉だけでした

伝えてあげられたのは、言葉だけだった。パンにも、毛布にもならない、ただ、耳に触れただけの言葉のいくつかは、残響となって、埋まらない僕の箱のなかを永遠に往く。振り子のように僕を打つ響き、今なら、どんなことをしてあげられるのだろうと想う。

連作川柳 [1][2][3]
言葉だけ きれいな言葉だけでした
ふあうすと2016年12月号「明鏡府」掲載